岡井盛夫:2018年1月7日



チバニアンと「大いなる西部」


 2017年11月13日、地球の磁場が逆転した痕跡として、チバニアン(千葉時代)が国際標準の候補になったことが報道されました。地球は過去にN極とS極が何度も入れ替わっており、その最後の逆転が77万年前の千葉県市原市養老川沿いにあったのです。
 このニュースは、地球が丸い磁石であることを教えてくれます。そして、地球上の東西南北は地球だけの常識(位置関係※)であって、宇宙から見れば絶対的な位置関係がないことが分ります。
※地球は自転しながら(24H)、約365日で太陽の周囲を回転している。

 磁石と言えば、米国映画「大いなる西部」(1958年)は、いわば磁石物語でもがありました。次は、映画のあらすじです。
 ージム・マッケイ(グレゴリー・ペック)は、北部から西部に来た男であった。目的は、地元の有力者・テリル少佐の娘・パット(北部で交際)と結婚するためであった。
 西部の気の荒い牧童たちは、腕力を勇気だと錯覚している。そして、何かにつけて「西部は世界で一番大きい」と自慢する。北部男は、「もっと大きい所がある」と言い、牧童たちに信用されない。
 北部男は、海の広さを知っていた。つまり、彼の前身は捕鯨船の船長であった。「大いなる西部」は、捕鯨業が衰退した頃のストリーであった。
 北部男が二日間、西部を旅したことがあった。誰もが、彼が迷っていると思った。すぐに、捜査団が派遣された。捜査団が北部男を発見した時、彼は「自分の居場所は承知していた」と言った。テリル少佐もパットも牧童たちも、彼の言葉を信じることができなかった。実は、北部男は地図と磁石と時計によって、自分の居場所を正確に把握していた。
 北部男は腕力の誇示を嫌った。ハンサムで物静かな紳士であった。パットは北部男の真価を理解できなかった。しかし、彼は腰抜けではなかった。牧童頭(チャールトン・ヘストン)との<二人だけの大いなる西部での>対決(※)を果たした。誘拐された美人先生(ジーン・シモンズ)を助けるためには、危険を冒して誘拐先に乗りこんだ。女を守るためには、決闘すら望んだ。その勇気こそが愛であった。美人先生も、北部男を愛していた。二人は当然に結ばれた。ー
※「殴り合いで得られるものは何もない」が、「大いなる西部」の主題でもあった。
 
 チバニアンのニュースを知るまで、私は地球の東西南北に頼って生きて来ました。あるいは地球は、映画の「大いなる西部」かも知れません。私は海は知っていますが、本当の「海」の広さをまだ知らないのかも知れません。