| 岡井盛夫：2020年1月7日 |
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「歎異抄」の念仏とは？ |
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| この文章は、『歎異抄をひらく』（高森顕徹著）の読書ノートです。参考書は、『親鸞』（五木寛之著）、『「法然」を読む』（ひろさちや著）、『仏教入門』（松原泰道著）などです。 ブッダと浄土宗 次は、『仏教入門』の要点です。 （１）仏教は印度で生まれた。ブッダ（※）を原点として、小乗仏教と大乗仏教に別れて布教された。小乗仏教は、海を東進して東南アジアに及んだ。大乗仏教は、シルクロードを歩いて中国や日本に分布している。 ※①釈尊（BC463〜383）、仏教の元祖。 ※②ブッダの悟りを一言で言えば、「形あるものはうつろいゆく」。「うつろいゆく」の先は、「無量・無限」あるいは「空」。 （２）浄土宗は法然（1133〜1212）によって、日本で生まれた日本人の宗教。「南無阿弥陀仏（※）、とただ念仏するのみで極楽往生ができる」、と説かれた。 ※南無とは、梵語（サンスクリット語）で「私は帰依します」の意。阿弥陀仏とは、梵語では無量・無限（時間と空間を超える世界）の意。 （３）法然の時代までの日本の仏教は、僧職者などの特権階級の人たちが仏教界を支配していた。念仏だけで極楽往生てできるとする専修念仏は、「異端邪教だ」と非難された。 （４）浄土宗は、末法思想（※①）の時代、政変（※②）や天災事変や疫病の流行など社会的混乱の中で人心を完全に捕えた。 ※①、ブッダ逝去から１０００年後の世の中。 ※②、保元の乱（1158）、平治の乱（1159） （４）阿弥陀（※１）の救いとは、老いも若きも善人も悪人も、一切差別はない。「仏願に疑心あることなし」の信心が肝要と言われている。阿弥陀仏の本願（※２）の真骨頂である。 ※１、阿弥陀如来は大乗佛教の如来の一つ。あるいは、釈迦や諸仏の呼称。 ※２、誓願 【補】 一神教とブッダ
歎異抄の念仏とは？ 次は、『歎異抄をひらく』の念仏についての要点です。 （１）阿弥陀の本願に救われ念仏する身になることのみが、徹底した大慈悲心（※）である。 ※浄土仏教で教える慈悲とは、はやく弥陀の本願に救われ念仏する身となり、浄土仏の悟りをひらき、大慈悲をもって思う存分人々を救うこと。 （２）まったく弥陀の力で、私の計らいを離れた念仏（※）。 ※念仏とは、計らい無きこと。自力の計らい尽きた他力不思議の念仏。念仏とは、「すべての衆生を救う」との不思議な阿弥陀如来の誓願。 （３）世の中は、そらごと、たわごとばかりで、真実は一つもない。ただ弥陀より賜った念仏のみがまことである。 （４）法然が、他力本願念仏の一宗を興宣した。 善人と悪人の念仏 次は、『歎異抄をひらく』の念仏についての要点です。 「歎異抄」には、「善人なおもって往生を遂ぐ、いわんや悪人をや」と書かれています。そのことを「悪をするほど助かるのだ」と誤解して、「悪人製造の教え」と非難する人がいる。 （１）善人悪人は、常識や法律、倫理・道徳の「善人」や「悪人」ではない。 （２）人間みな煩悩の塊である。弥陀は、永遠に助かる縁なき「悪人」（人間の代名詞）を、他力を信じ念仏すれば必ず救う。 （３）善人とは、「善を励んで助かろう」と念仏称えて救われようと務める人である。しかし、彼らも邪見のおごりに気付いていない。善人であれ悪人であれ、「自力の心をひるがえして、他力をたてまつらなくてはならない」。 （４）弥陀の救いには、善人も悪人も区別がない。「ただ信心を要とすと知るべし」と明言し、他力信心に絞られている。 歎異抄とは？ 『歎異抄をひらく』（には、 （１）『歎異抄』は鎌倉時代後期（１３００年前後）、親鸞の高弟・唯円（ゆいえん）によって書かれた。親鸞聖人の発言とは異なることを言いふらす者の出現を嘆き、その誤りを正そうとしたものである。本来、門外不出の秘本であった。 （２）一章から十章までが、親鸞の言葉。 蓮如（1415-1499）は、ーこの「歎異抄」は浄土真宗の大事な聖教である。仏縁浅き人には、誰彼なく拝続させてはならないー、と指摘しています。 『歎異抄』には、「ともに聞法し教えを学んだ法友に、異なる信心のなきように。故に『歎異抄』と名付ける。仏縁なきヒトの目に触れないようにしてもらいたい」、と書かれています。 【補】 親鸞（１１７３〜１２６３年）の略歴
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