岡井盛夫・ホモ・サピエンス(現生人類)のシリーズ(1)


人類とチンパンジーの違い

 次の文章は、溝口優司著『アフリカで/誕生した人類が/日本人になるまで』を要約しました。●は、私のコメントです。
(1)チンパンジーは、人類とよく似ている。顔も、姿形も、行動も似ている。人類はさまざまな道具を使うが、チンパンジーも道具を使う。例えば、木の枝を使ってシロアリを釣ることはよく知られている。京大霊長類研究所の実験によると、教育を受ければ、タッチパネルに触れて質問に答えることもできるようになる」、と書かれている。


ビデオ図書館:実験風景


(2)現在の人類(ホモ・サピエンス)とチンパンジーの遺伝子は、90数パーセントが同じである。しかし、ホモ・サピエンスとチンパンジーとは明らかに異なっている。最大の違いは 脳の大きさである。

チンパンジーの脳 人類の脳
700万年前 猿人          300〜 500cc(現在のチンパンジーの脳とほぼ同じ)
現在 300〜 500cc  ホモ・サピエンス  11000〜1600cc

 但し、現在のチンパンジーの脳が猿人の脳と同じ大きさであっても、猿人がホモ・サピエンスに進化したように、進化するとは考えられません。

●次の画像は、Google検索によって取り出しました。あたかも猿人が700万年かけて、(2)→(3)→(4)→(5)→(6)の順で現代人に進化したように描かれております。しかし、そのような進化は、化石にも人類学でも遺伝子の研究でも証明されている訳ではありません、例えば、中国人は北京原人が進化した現代人ではありません。


【参考】.トギレトギレの進化論

(3)ところで、何故私達の祖先だけが、類人類から猿人へと進化した、と言われているのであろうか。類人類と能力がさほど違っていたとは思えない初期の猿人が、なぜ類人類と人類との間にある一線を越えることができたのであろうか。その答えは、直立二足歩行にあると考えられている。

 そもそも私達の祖先は、人類になる前は、チンパンジーなどの類人類と同様に、樹上生活を営んでいたと考えられています。ところが、何らかの理由によって、樹上生活から追いやられ、地上生活をせざるを得なくなりました。そのため、地上生活に適応して直立二足歩行をすることになったのです。
 何らの理由とは、地球環境の変化によって森林が縮小したとか、それによって食物が減少したとか、あるいは他の生物との競合が激しくなっことなどが考えられます。直立二足歩行することになった人類は、手の自由を獲得しました。その結果として、
(1)脳が刺激され、発達した大きな脳を獲得し、複雑な道具が使えるようになった。
(2)道具を使うことになり、ますます手が器用になり、さらに脳が発達した。
 と考えられています。 

 以上、(1)(2)という循環を繰り返しながら、結果、人類の脳は類人類の脳の大きさを遥かに超え、最終的には1400cc前後にまで拡大しました。さらに、人類は社会を構成することとなり、人類の人類たらんとする言語も獲得したのです。
 なお、チンパンジーの歩き方は、ナックル・ウォーキング(基本的には四足歩行で、握り拳で地面を突くと呼ばれる歩き方 )と呼ばれています。それに対して猿人は、「ナックル・ウォーキナグてはない。日常的に直立二足歩行をしていた」、と考えられています。(11/10/01)
(シリーズとしてつづく)